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鈴木 英哉*; 佐々木 祐二; 須郷 由美; Apichaibukol, A.; 木村 貴海
Radiochimica Acta, 92(8), p.463 - 466, 2004/08
被引用回数:87 パーセンタイル:97.5(Chemistry, Inorganic & Nuclear)多座配位の抽出剤であるTODGAを溶解したドデカン溶液を有機相として用い、硝酸溶液中からのAm(III)とSr(II)の抽出分離について検討した。その結果、この抽出反応には、対イオンとしてのNO以外にHNOが関与していることがわかった。また、TODGA濃度の高い条件では、Am(III), Sr(II)ともに大きな分配比の値を示すが、硝酸濃度をより高い条件(3M以上)とすることで、さらに分配比が増加するAm(III)に対し、Sr(II)の分配比は減少する。したがって、高レベル廃液中からAm(III)とSr(II)をともに抽出した後、6M硝酸溶液を用いることでSr(II)のみが水相の硝酸中に逆抽出されるため、Am(III)とSr(II)との相互分離が可能である。また、TODGAを含む有機相中にモノアミドを添加することで、抽出錯体の有機相中への溶解度が増し、第三相の生成を抑制できるため、金属の抽出容量を大きくすることができる。
鈴木 伸一; 佐々木 祐二; 矢板 毅; 木村 貴海
Proceedings of International Conference ATALANTE 2004 Advances for Future Nuclear Fuel Cycles (CD-ROM), 4 Pages, 2004/06
われわれは、使用済核燃料(SF)の簡素化次世代型再処理プロセス:ARTISTプロセスを提案している。ARTISTプロセスの主要工程の一つは、「Uの選択的抽出工程」である。「Uの選択的抽出工程」では、選択的にU(VI)のみの分離回収を目的としている。使用する試薬としては、焼却処分が可能であり固体廃棄物の低減が期待され、環境負荷低減が見込めるN,N-ジアルキルアミドを用いる。特に、嵩高いN,N-ジアルキルアミドは、金属との錯形成において枝分かれ効果を示すため、この枝分かれ効果を用いてAn(VI)とAn(IV)の分離が可能となる。本研究では、D2EHDMPAを用いプロセス内でのPu(IV)のリサイクル蓄積を起こすことなくU(VI)の単離ができることを確認した。さらに、Npの抽出においても、Np(VI)からNp(V)あるいはNp(IV)への還元処理を行わずにNp(VI)とU(VI)の分離の可能性を見いだした。
佐々木 祐二; 須郷 由美; 鈴木 英哉*; 木村 貴海
Proceedings of International Conference ATALANTE 2004 Advances for Future Nuclear Fuel Cycles (CD-ROM), 4 Pages, 2004/06
使用済み燃料の革新的な再処理法の開発は原子力分野において重要な研究テーマである。われわれはこれまでにARTISTプロセスを開発してきた。ARTISTプロセスはモノアミドを用いるマトリックスウランの抽出分離とTODGAを用いる全TRU抽出分離を主工程としている。TODGAは3, 4価のアクチノイドイオンに対して高い抽出性能を示すが、Np(V)のような5価のアクチノイドイオンの分配比は低い。したがって、ARTISTで対象となるNpは4価に還元して抽出する必要がある。核分裂生成元素では、TODGAにより、ランタノイド(III), Sr(II), Zr(IV)がよく抽出される。本発表では、3, 4, 5, 6価のアクチノイドイオン, Sr(II), Zr(IV)、及びランタノイド(III)の抽出挙動についての詳細と抽出容量,相互分離などについて紹介する。
佐々木 祐二; 鈴木 伸一; 館盛 勝一*; 木村 貴海
Proceedings of GLOBAL2003 Atoms for Prosperity; Updating Eisenhower's Global Vision for Nuclear Energy (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
使用済み核燃料(SF)の新規な化学分離プロセス(ARTISTプロセス)を提案した。この概念は全アクチノイド元素(An)の回収,管理と核分裂生成元素(FP)の処分から成る。ARTISTプロセスは2つの主工程、すなわちウランの単離と超ウラン元素(TRV)の全回収工程から構成される。前者は枝分かれアミドを(BAMA)、後者はTODGAを用いる。BAMAはAn(IV)よりAn(VI)との親和性が高く、SFからU(VI)の単離に適している。TODGAはAn(III), An(IV)との錯形成が著しく強い。一方、Np(V)はTODGAとの錯形成が弱いため、原子価をNp(IV)に変えて抽出する。TODGAの能力を向上させるため、モノアミドとの共存系も検討した。講演では、BAMA, TODGAを用いてAn, FPを溶媒抽出した結果について述べる。
館盛 勝一; 鈴木 伸一; 佐々木 祐二
日本原子力学会誌, 43(12), p.1235 - 1241, 2001/12
被引用回数:29 パーセンタイル:87.11(Nuclear Science & Technology)使用済核燃料の処理法としてARTISTプロセスを提案した。本法は使用済燃料中のすべてのアクチノイドを分離回収して暫定貯蔵し、重要に応じて供給するものである。暫定貯蔵するアクチノイドは、ウラン製品と超ウラン元素の混合体製品であり、後者にはランタノイドも含まれるので、核不拡散性に富んだ製品である。本論では、以上の概念の技術基盤として、枝分かれアルキル基を有するモノアミド抽出剤によるウランの選択抽出法と、三座配位子であるTODGA抽出剤による超ウラン元素とランタノイドの一括抽出法を示した。これらの抽出剤はいずれも環境に調和するCHON原則の物質である。ARTISTプロセスでは、核分裂生成物のみを地層処分用廃棄物として排出し、例えばSrやCsといった発熱性核種の分離工程をオプションとして追加することが可能である。
館盛 勝一
JAERI-Research 2001-048, 23 Pages, 2001/10
使用済み核燃料 (SF)の新しい化学処理プロセス:ARTISTプロセス、を提案した。ARTISTプロセスの主要概念は、SF中のアクチノイドをすべて回収し、それらをウラン(U)と超ウラン元素(TRU)混合物の二つのグループに分けて暫定貯蔵し、その資源価値を維持することである。そして地層処分をするのは核分裂生成物 (FP)のみである。この簡素な化学処理プロセスの主要ステップは二つ;Uの選択的回収工程とTRUの総合抽出工程(これは核不拡散の要請と整合する)、であり、将来的に運転するプルトニウム分離工程とソフトな窒素ドナーによるランタノイド除去工程、そしてオプションとしての長寿命FP分離工程なども含む。分離したU製品とTRU製品はそれぞれ仮焼・固化し将来の利用まで貯蔵する。抽出工程のほとんどで、CHON原則に合うアミド系抽出剤を用いる。本稿では、立体障害によりUのみを選択的に抽出する枝分かれモノアミドや、三座配位特性によりすべてのTRUを強力に抽出するジグリコールアミド抽出剤などの利用効果を説明して、ARTISTプロセスの技術的実現性を示した。